痩せたい。

まさか、昔から親父には「もやし」と言われ続けたこの俺が、痩せたいなどと思う日が来ようとは。

学生時代には58Kgがベスト体重だったが、気がつけば60Kgを超え、65を超え、あれよあれよと68まできた。この間、上がっては下がっての小康状態、と思いきや、長い目で見れば緩やかな右肩上がりで、おそらくグラフにすれば、それはまるで地球温暖化を示しているかのようである。

そしてついに、しばらく気に留めていなかったが、何気なく体重を量ってみれば禁断の70Kgオーバーである。ついに未踏の地に足を踏み入れてしまった感がある。先日の健康診断でもやはり71Kgぐらいだっか、数字は嘘をつかないんだなぁと妙に感心した記憶がある。

別に体重はいい。多少身体の動きが鈍くなろうが、なんかあって家族を守らにゃならんとかいう事態になっても、まあ、それなりに動けるだろう。問題は腹と腿である。主に。主じゃないところを言えば、ふくらはぎと足首から先である。

腹と腿の異常さは、「着られる服がない」という切実な現実に毎朝出くわしてしまうことで知覚してしまう。情けない話だ。見るからに情けない腹だ。

痩せるためにはレコーディング、というわけでメジャーを買ってきた。測ってみたところ86.5cmと読める。これが現時点での、唯一確からしい現実である。しかし、これが3ヶ月後、あんなことになろうとは、全く想像だにしなかったのである。

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